「せぼね」で困ったらどうしましょう?vol.2
「せぼね」と腰痛のお話
真星病院 名誉院長 鷲見(すみ)正敏(まさとし)

1.「せぼね:バックボーン」
「せぼね(背骨)」は英語では「バック(背)・ボーン(骨)」です。
「バックボーン」がしっかりしてるからね、の「バックボーン」です。
つまり、身体を支える柱の役割を果たしている大事な「骨」を「せぼね」と呼びます。

バックボーン

「家」で言えば「大黒柱」、
お寺の「塔」では「心柱(しんばしら)」が
これに当たります。

ところで、「塔」の「心柱」の一番下は宙に浮かせてるのをご存じですか?
「心柱」は土台との間で図のように浮いているので、動く余裕があります。
「塔」のように長い「身体」を支える「せぼね」にも、
軟らかく余裕を持って支える能力が必要になります。「せぼね」の

骨と骨の間には軟らかい「椎間板」があり、
「せぼね」に柔らかく余裕をもたせて身体を支えています。

椎間板ヘルニア

ただ、人間は立って、歩いて、物をかかえてと
「せぼね」に強い負担をかけるため、
20歳を過ぎた頃から軟骨の「椎間板」は「硬く」「動きにくい」ものへと
「変性」してきます。
皮膚の老化と同じで、軟骨の中の水分が減り、
ポヨンポヨンの「椎間板」がバサバサに「老化」し始めるのです。

若い人の肌を見て「プヨンプヨンして羨ましぃ!」
ってあれと同じ変化です。

椎間板ヘルニア

「椎間板」が「硬く・動きにくく」なると、
周りの骨も「老化」し始めて変化します。
このため「椎間板」だけでなく後ろにある
「関節」も硬く「老化」して、
「腰痛」や「ヘルニア」などの問題が出てきます。

2.「腰痛」のお話

椎間板ヘルニア

 普段の生活で、突然、強い腰痛に襲われて
動けなくなることがあります。
「ぎっくり腰」と呼ばれ、あんまり痛いので
ドイツでは「魔女の一撃」とも言われています。

医学的には「急性腰痛症」で、通常は保存治療が効いて2週間前後で治ります。
ただ、このように強い腰痛になる原因は、他にもあるので注意が必要です。
「大動脈瘤の破裂」「癌による腰痛」「尿路結石」や内臓が原因の「腰痛」です。
この中には「大動脈瘤」などのように「死ぬ」可能性のある「腰痛」もあります。
簡単には見極められませんが、内臓からの「腰痛」は「身体」の動きとは関係なく
「痛み」が強くなるので「身体」を動かすと痛みがひどくなる
「急性腰痛症」とは少し異なります。
また、「圧迫骨折」「化膿性脊椎炎:細菌が感染したためせぼねが潰れる病気です」「せぼねの腫瘍」
そして「椎間板ヘルニア」など、「死」ななくても、厄介な病気で「腰痛」になることもあります。
これらを区別するのは難しいので、「ぎっくり腰」かな?と思っても、医者に行きましょう。

3.「腰椎椎間板ヘルニア」のお話
「椎間板」は若くから「変性」が始まります。

椎間板ヘルニア

何かのきっかけで「変性」で弱くなった「椎間板」の「殻」が壊れ、
中の「髄核(ずいかく):ゼリー状の塊」が
「殻」から外へ飛び出します。飛び出した「髄核」がそばの

「神経」を押すため、「足へ走る痛み:放散痛」が出現しますし、
壊れた「殻」が「腰痛」となります。これが「ヘルニア」です。次回で詳しく説明します。